仏教は、紀元前6世紀頃、現在のインド北部(マガダ国周辺)で、ガウタマ・シッダールタ(お釈迦様)によって説かれた教えから始まりました。当時のインドでは、バラモン教という、祭礼や身分制度を重んじる宗教が主流でしたが、その教えに疑問を持つ人々の中から、新しい考え方を求める動きが起こっていました。お釈迦様の教えも、そうした流れの中で生まれた新しい思想の一つでした。

戦争を悔い、仏教に目覚めた王様

仏教がインド全土に広がる大きな転機となったのが、紀元前3世紀のアショーカ王です。インドのほぼ全域を統一した王でしたが、隣国カリンガとの戦争で数十万人ともいわれる犠牲者を出したことを深く悔い、これをきっかけに仏教に深く帰依したと伝えられています。それ以降アショーカ王は、力による統治ではなく、思いやりの心(ダルマ)による政治を目指し、その理念を各地の石柱や岩に刻ませました。これらは「アショーカ王碑文」として、今もインド各地に残っています。