「悟り」とは、お釈迦様が到達したとされる、物事の本当のあり方に気づき、執着や迷いから解放された心の状態を指します。仏教の最終的な目標として語られることが多い言葉です。

悟りと聞くと、非常に遠く、特別な存在だけが到達できる境地のように感じられるかもしれません。実際、悟りに至る道のりは長く、厳しい修行を伴うと考えられてきました。

悟りを開いた後、説くことをためらったお釈迦様

意外に思われるかもしれませんが、悟りを開いた直後のお釈迦様は、その教えを人々に説くことをためらったと伝えられています。自らがたどり着いた真理があまりに深く、人々に伝えても理解してもらえないのではないか、と感じたためだといいます。そこに現れたのが、インドの神・梵天(ぼんてん)でした。梵天は「悟りに至る道を説いてください」と、三度にわたってお釈迦様に懇願したと伝えられています。この「梵天勧請(ぼんてんかんじょう)」と呼ばれる出来事を経て、ようやくお釈迦様は説法を決意し、初めての説法(初転法輪)に臨みました。今、私たちが仏教の教えに触れられているのは、この梵天のひたむきな願いがあったからだ、とも言われています。