仏教はもともと、お釈迦様お一人の教えから始まりました。お釈迦様は、話す相手の性質や理解力に応じて、教え方を変えていたとされています。これを**「対機説法(たいきせっぽう)」**と呼びます。同じ問いにも、相手によって異なる答え方をされていたため、その教えを弟子たちが伝え、後に経典としてまとめる中で、さまざまな教えが並び立つ形になりました。時代が進み、教えが各地に広まっていく中で、経典の解釈や、修行のあり方についての考え方が少しずつ分かれていきました。日本では、飛鳥・奈良時代に伝わった宗派(法相宗など)から、鎌倉時代に生まれた新しい宗派(浄土宗、浄土真宗、禅宗、日蓮宗など)まで、時代ごとに新しい宗派が誕生し、現在は十三の宗派があるとされています。
すでにインドで始まっていた、教えの枝分かれ
実は、教えが分かれていくという出来事は、日本に仏教が伝わるはるか以前、インドの段階からすでに起きていました。お釈迦様が亡くなってから100年ほど経った頃、戒律の細かな解釈をめぐって意見が対立し、教団は「上座部(じょうざぶ)」と「大衆部(だいしゅぶ)」という2つに分かれます。これを「根本分裂(こんぽんぶんれつ)」と呼びます。その後もさらに枝分かれが進み、最終的には18〜20ほどの部派に分かれたと伝えられています。一つだったはずの教えが、時代や地域を経るごとに枝分かれしていくというのは、仏教の歴史を通じて繰り返されてきた、自然な流れだったと言えるかもしれません。

