お経とは、お釈迦様が生前に説いた教えを、亡くなった後に弟子たちが記憶をもとにまとめ、文字として書き記したものです。多くのお経は、冒頭に「如是我聞にょぜがもん(にょぜがもん・このように私は聞いた)」という言葉から始まり、弟子がお釈迦様の説法を直接聞いて伝えた、という形式をとっています。「仏説阿弥陀経」のように、タイトルに「仏説」がつくお経は、お釈迦様が直接説かれた教えであることを表しています。インドで生まれたお経は、中国を経て日本に伝わる中で、漢文に翻訳されていきました。

内容はお経によってさまざまで、心のあり方について説いたもの(般若心経はんにゃしんぎょうなど)、壮大な物語形式で教えを伝えるもの(法華経ほけきょうなど)、極楽浄土の様子を描いたもの(阿弥陀経など)といった違いがあります。

物語で教えを伝える、法華経ほけきょうの「たとえ話」

お経の中には、抽象的な教えを、身近な物語に置き換えて伝えるものもあります。代表的なのが、法華経ほけきょうに説かれる「三車火宅(さんしゃかたく)」のたとえです。ある長者の家が火事になったのに、中で遊ぶ子どもたちは気づかず逃げようとしません。そこで長者は、「外に、羊の車・鹿の車・牛の車があるよ」と声をかけ、子どもたちを外に誘い出しました。実際に外に出てみると、そこには話していた車よりもずっと立派な、大きな白い牛の車が用意されていた、という物語です。これは、人それぞれの理解力に合わせて、まず分かりやすい教えで導き、最終的にはより大きな真実へと導いていく、というお釈迦様の教え方そのものを表しているとされています。

262文字に凝縮された、般若心経はんにゃしんぎょう

お経の長さもさまざまです。多くの宗派で読まれる般若心経はんにゃしんぎょうは、わずか262文字という短さで知られていますが、その元になったとされる大般若経は、なんと全600巻にもおよぶ膨大な経典です。膨大な教えのエッセンスを、これほど短い言葉に凝縮したという点も、般若心経はんにゃしんぎょうが長く親しまれてきた理由の一つと言われています(浄土真宗じょうどしんしゅう日蓮宗にちれんしゅうなど、般若心経はんにゃしんぎょうではなく、それぞれの根本とする経典を中心に読むお寺もあります)。